歯周病治療

当クリニック は歯周病により失われた歯槽骨の回復に
「自家細胞を用いた再生医療」を用います。

歯周病は歯を支える歯肉や歯槽骨などが破壊される病気であり、歯を失う主な原因です。初期の段階では口腔内の清掃状態の改善と歯石除去で歯ぐきの健康を回復できます。一方、進行した歯周病では歯を支える歯槽骨の破壊が進み、歯の隙間が目立ち、歯がぐらぐらするようになります。その治療は歯石と炎症性の歯肉(肉芽)を除去する歯周外科手術が行われますが、治療が成功し、炎症が治ったあとも破壊されてしまった歯槽骨が回復することはありません。 従来の歯周組織再生療法に加えて、活発に骨を造る能力を持つ自家細胞を歯槽骨の再生療法に用いることによって、これまでにない歯槽骨の再生効果が期待できます。

歯周組織再生療法・自家細胞による歯槽骨再生療法

歯周病で破壊された歯槽骨を回復するために

予防と治療の重要性

当クリニックは培養で増やした自家細胞「培養自家骨膜細胞」による再生医療を歯周組織の再生に使います。

骨膜細胞は強い骨形成力を持つとともに、コラーゲン線維、血管や脂肪をつくる細胞など、多様な種類の細胞を生み出します。培養自家骨膜細胞による再生医療は2016年から治療として実用が開始されました。これまでに約120人の患者さんに投与され、活発な歯槽骨の再生効果が示されています。培養自家骨膜細胞は歯周病で失われた歯周組織の再生治療の中でも特に難しい、比較的広範囲の歯槽骨欠損の回復において効果を発揮することが期待できます。

歯周組織再生療法とは

歯周病で破壊された歯周組織の再生(歯周組織再生療法)

歯周病の進行によって破壊された歯根膜や歯槽骨を再生するために広く行われている治療です。歯周外科手術による歯ぐきの病巣の除去後に以下のような移植あるいは薬剤による治療が行われます。

一般的な歯周組織再生療法

・歯周組織再生誘導法(GTR法)  歯肉と歯槽骨の間に隔壁を置いて骨が盛り上がるのを誘導する方法 ・自家骨移植  自身の顎の骨を採取して骨の欠損部に移植し、骨を誘導する方法 ・人工骨移植  骨の欠損部に顆粒状の人工骨(リン酸カルシウムや炭酸カルシウム、等)を移植して骨に置き換わるのを待つ方法。 ・自家歯肉の移動あるいは移植  歯ぐきの不足や形を整える方法 ・自家結合組織の移植  歯ぐきの不足や形を整える方法 ・成長因子などの薬剤:豚由来エナメル蛋白(エムドゲイン)、FGF2(リグロス)の投与。  薬剤によって骨を造る方法

もう一つの移植材料:培養自家骨膜細胞による歯槽骨再生療法

当クリニックで用いる「培養自家骨膜細胞」による歯槽骨再生療法は従来の自家骨や人工骨、薬剤による再生療法と違い、自ら骨を造りだす能力を発揮する点が他には無い特徴です。その結果、他の方法で得られない、歯槽骨欠損の形や大きさに依存しない安定した再生効果が期待できます

*この再生医療は現状では新潟大学医歯学総合病院で唯一実施されていますが、現在新潟大学と細胞を製造する企業のあいだで準備が進められており、培養による細胞の製造体制が整備された段階で、当院における培養自家骨膜細胞による歯槽骨再生療法を開始する予定です。

 

再生療法に用いる移植材料と薬剤の作用の比較

骨再生材の比較表
培養自家骨細胞 自家骨 サイトランス
(人工骨)
エムドゲイン/リグロス
(成長因子)
GTR膜
(人工膜)
骨を造る力 ◎ 活発 × × ×
骨を誘導する力 × ×
作用 骨を造る
育てる
骨を造る 骨に置き換わる 骨の細胞を育てる 骨が入りこむ
できる骨の質 良い あまり良くない ? ? ?
治療費 自費 自費/保険 自費 自費/保険 保険/自費

歯周病とは

歯周病とは

歯周病菌が原因となり歯周組織(歯肉、歯根膜、歯槽骨)に発症する慢性炎症疾患です。歯を失う原因の第一位は虫歯ではなく歯周病であり、人類で最も多くの人が患う疾患でもあります。症状は歯肉の痩せや口臭、歯のぐらつきですが、近年、歯周病からの細菌が血流に入ることによって心筋梗塞、糖尿病、関節リウマチ、動脈硬化、その他さまざまな全身疾患や悪化に関連することが示されています。 予防法が確立して減少した虫歯とは対照的に、歯周病は今も全年齢層、特に高年齢層で増加傾向にあります。治療についても炎症を抑え、進行を止める治療法は確立していますが、中等度歯周病(骨欠損を伴う歯周ポケットが5~6mm以上の状態)や重度歯周病(歯のグラ付きがあり、広範囲の骨欠損がある)で破壊された歯槽骨の回復は難しい状況です。一般に広く行われる歯周組織再生療法では歯槽骨欠損の形や範囲によって効果が左右され、得られる骨の再生量も限られた範囲にとどまっています。

歯周病の原因

当クリニックの歯周再生治療

歯磨きを怠ったり、磨き残しがあると、細菌が歯と歯ぐきの間にべったりと貼り付き繁殖します(歯垢)。やがて、歯と歯ぐきの間に入りこんだ細菌は毒素を放出し、歯肉の腫れを引き起こし(歯肉炎)、さらに進行すると歯を支える歯肉や歯根膜、歯槽骨を破壊し、深い歯周ポケットを形成します。歯周病を進行させる背景には加齢などによる免疫力の低下や異常な噛み合わせで歯にかかる負担があげられます。

Check

歯周病の進行に伴う症状と治療

歯肉炎

歯肉炎

歯周ポケットにプラークが溜まり、歯肉の発赤や腫れが起きている状態です。炎症は歯肉に限局していますので、この段階ではプラークを取り除き、丁寧なブラッシングを心掛ければ治ります。ただし思春期性歯肉炎や妊娠性歯肉炎など、ホルモンなどの全身的な背景が関与する歯肉炎では治りにくく、歯周炎に移行しないよう注意が必要です。

歯周炎

炎症が歯肉から歯を支える歯根膜、歯槽骨にまで及んでいる状態です。進行度合いにより軽度、中等度、重度に分けられます。

軽度歯周炎

軽度歯周炎

歯周ポケットは3~4㎜。歯ぐきの腫れが強くなり、歯を支える歯槽骨が溶け始め、レントゲンで歯槽骨の高さの低下が確認できるようになります。自覚症状が出にくいため、歯科医院で検査を受けて初めて認識される方がほとんどです。この段階までは正しいブラッシングと歯垢(プラーク)、歯石の除去で治ります。

中等度歯周炎

中等度歯周炎

歯周ポケットは4~6㎜で、歯肉が下がり腫れが顕著に表れます。レントゲンでも歯槽骨の吸収と歯肉の下の歯根に付着した歯石がはっきりと確認できます。麻酔をかけた歯石除去が必要になり、歯周外科手術(歯ぐきを開いて感染した歯肉と歯石を除去する)など、さらに進んだ治療が必要になる可能性があります。治療後も下がってしまった歯槽骨と歯ぐきの高さは回復されません。

重度歯周炎

重度歯周炎

歯ぐきは常に腫れ、出血するようになります。歯ぐきから膿がにじみ、口の中がベタつき、口臭も強くなります。歯ぐきが顕著に下がり、歯根が見えるようになります。歯槽骨の破壊が進んだ結果、歯がぐらぐらしてくるので噛むことも難しくなります。レントゲンでは歯槽骨が歯の根の先端付近まで吸収していることが確認できます。一般的には歯根の先端まで骨が吸収されている場合は抜歯が適切と判断されます。

歯周病の予防と治療の重要性

歯周病予防・治療のイメージ

歯周病に対する根本的な予防方法が十分でないため今なお歯周病は少しずつ増えています。高齢者に多い疾患であることに変わりありませんが、近年は10歳台から20歳台の比較的若年者の歯周疾患がわずかに増加しています。年齢が上がるとともに歯周病が進行してしまい、下がってしまった歯ぐきや歯槽骨を元どおりに回復することは困難です。

したがって、出来るだけ若い時から歯周病予防を開始すると共に、歯の喪失が急増する40歳台後半以降の中等度から高度に進行した歯周病の治療と歯周組織の再生治療の効果を向上することが高齢化にともなう歯の喪失を防ぐために重要です。

当クリニックは歯周病の予防と治療に加えて、自家細胞による歯槽骨の再生療法に力を入れています。歯周病による歯槽骨の吸収で不安をお持ちの方は一度ご相談ください。再生医療は開発されて間もない治療法であり、歯科でも実施できる施設は極めて限られています。ご相談に際しては出来ることと出来ないことを明確にお示した上で、治療の可能性を説明させていただきます。

治療法

歯周組織検査

歯周組織検査
歯歯ぐきの状態(赤み、腫れ、歯周ポケット、歯垢や歯石の付着状態)を詳細に検査します。そのために、レントゲン写真や口腔内写真の撮影を行います。これらの精密検査の結果にを基に、患者さんお一人お一人に最適な治療計画をご提案いたします。

応急処置

応急処置
歯茎に痛みや腫れなどの症状がある場合は、速やかに清掃と与薬、その他の必要な応急処置を行います。

歯周初期治療

歯周初期治療
歯周病治療を進めるうえで基礎となるもので、患者さんご自身で日常行うブラッシングの指導と歯科医院で行う歯石除去(スケーリング・ルートプレーニング)などが行われます。

歯石除去について

一般的に「歯石とり」や「クリーニング」といわれる歯石除去治療ですが、歯周病の進行具合によって除去の仕方は異なります。歯周ポケットが4㎜以上に進行していると、歯の表面の歯石(縁上歯石)だけを落としても、歯周ポケット内の歯石が残っているため歯ぐきの炎症は取れません。歯肉の中で歯根表面に付着している歯石(縁下歯石)を除去する必要があるのです。まず縁上歯石を除去し、その後特殊な器具を使って縁下歯石の除去を行います。この歯周治療法をスケーリング・ルートプレーニング(SRP)といいます。

歯の数が極端に少ない場合を除いて、お口の中を数か所に分けて歯石を除去します。患者さんにとっては何度も通院するのは煩わしく思われるかもしれません。とはいえ歯肉の下に隠れた深いところに付着した歯石はそう簡単に除去できません。この点をご理解いただき、ご協力お願いいたします。

初期治療の評価、歯周外科手術と再生治療

初期治療の評価、歯周外科手術と再生治療
初期治療終了後、再度 歯周組織の状態を詳しく検査します。 必要と判断された部位には歯周外科手術を行い、炎症性の歯ぐきを完全に除去します。この際、必要に応じて歯周組織再生療法*(GTR法、エムドゲインやリグロスの投与)が適用されます。 当クリニックでは特に大きく拡大してしまった歯槽骨の破壊に対し、もう一つの治療法として培養自家骨膜細胞による歯槽骨再生療法**(詳しくはこちら)を適用することができます。これらの治療によってご自身の歯の寿命を少しでも長く保つことを可能にしたいと考えています。

*エムドゲインは自費診療で行われます。
**培養自家骨膜細胞による歯槽骨再生療法は自費診療として提供の準備を進めています。
  治療期間や治療費についての詳しい情報は今後順次公表いたします。

メンテナンス

メンテナンス
歯周病は再発しやすい病気です。定期的な通院によるメンテナンスは健康な状態を維持するために重要です。